大山田農林業公社&菜の舎(なのくら)
伊賀市平田103番地
0595-47-0151
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菜の花で伊賀を元気に!新商品「にんにく菜種油」を5月に発売!
「『あのきれいな菜の花から、この菜種油ができるんですね』と、イベントで声をかけていただく事も増えました。とてもうれしいですね」と話すのは、三重県伊賀市甲野の菜種油搾油施設「菜の舎(なのくら)」管理責任者の亀井健司さん。
亀井さんは、名張市出身の30歳。地元で農業をしたいという思いから、2014年に当時社団法人だった大山田農林業公社(現在は一般社団法人)に入社。入社後まもなく菜の舎に配属され、4年前に管理責任者に就任。現在は、菜の花の栽培から菜種油製造、商品開発も手がけている。
この菜種油製造は2007年から伊賀市が中心となり推進している「伊賀市菜の花プロジェクト」の事業の一つ。同プロジェクトは、遊休農地などで栽培した菜の花の種(菜種)を収穫、搾油し菜種油を製造。地域の特産品として販売。使い終わった菜種油を回収して、バイオディーゼル燃料(BDF)に精製し、農機の燃料に利用する資源循環型社会を実現するものだ。
現在、国産菜種油は国内の全消費量の1%以下で、大変貴重なもの。今年、伊賀市では51軒の農家が約36haで菜種を栽培。昨年の台風による湿害をうけたところもあるが、今年は暖冬の影響で種の生育が良く、収穫量は例年並みの約20トンを見込んでいるという。公社は同プロジェクトで栽培した菜種の搾油事業とBDF事業を業務委託されている。
同プロジェクトの菜種は10月に種をまき、翌年4月に開花、結実させたものを6月に収穫する。収穫した菜種はすぐに菜の舎に持ち込まれ、乾燥される。その後、田畑ごとにロットで分けて種の状態で保管され、順次搾油していく。
同施設で製造している菜種油は全て、薬品処理せずに昔ながらの圧搾(プレス)方式で搾油したもの。製造方法は大きく分けて2種類。加熱後に搾油し、ろ過するものと非加熱で搾油し、ろ過するものにわかれる。
「油を搾る時は、一つの作品を創るような気持ちで、ていねいにしあげています」と話す亀井さん。製造する上で気を付けていることは、食品安全基準を守ることと、商品の均一化だという。農家から持ち込まれた菜種は完熟度が均一ではない。完熟度がそのまま油の色や味に影響するので、種の状態をよく観察して、ロットのかけ合わせを考え、商品にばらつきがないようにしている。菜種の栽培に関しても農家を対象に栽培講習会を開催。田畑を市や関係者の方と一緒に定期的に回るなど、品質の安全と安定化を目ざしている。
菜種油を製造している菜の舎 |
菜種油は薬品を使わず、圧搾(プレス)方式で搾油される |
ろ過すると、澄んだ黄色の菜種油ができる |
「ほのかに菜の花の香りがして和風・洋風料理どちらも相性がいい油です」と話す亀井さん。より多くの方に商品を届けたいと、新商品の開発も積極的に行ってきた。以前は、瓶詰めの商品だったが、価格をおさえたペットボトル容器のものも販売。2020年5月には新商品の「七の花 伊賀産にんにく菜種油」を発売した。これは、伊賀市下友田の黒にんにくの製造販売を行っている「株式会社げんきカンパニー」とコラボした商品で、菜種油に同社のにんにくを入れ低温熟成させた、にんにくフレーバーが特徴だ。「にんにくの風味がしっかりしているのに、不思議と翌日匂いが残らない。イタリアンはもちろん、いろんな料理に使っていただけます」と、亀井さん。
最近は、県外の店舗から商品を置きたいという話が舞い込むことも。「もっと生産量をあげたいのですが、種が足りないのが現状で。地元の方にこのプロジェクトをもっと知っていただいて、料理に使っていただくのはもちろん、栽培にも協力していただけたら」と同プロジェクトへの意欲を語った