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ブーランジェリー　エ　カフェ　リエゾン　オーナー　向出益児さん

自家焙煎のコーヒーと国産小麦100％の無添加パンで食卓に安心と癒しを届けたい

店頭に並ぶコーヒー豆は何と50種類！　
生地も具材も全て手作りのパンを提供

　「毎日の食卓に並ぶものだからこそ、体に優しく心が和むものを届けたい」と話すのは、三重県伊賀市小田町のブーランジェリーエカフェリエゾンオーナーの向出益児さん（40）。毎朝5時から店舗でパンを製造し、8時の開店とともに焼き立てのパンを並べる。パンの生地には国産小麦を使い無添加で製造。中の具材も手作りしていて、カレーパンに使うキーマカレーはスパイスを調合して使用。カスタードクリームも手作りのものを使うといったこだわりようだ。「手間はかかりますが手作りの味はほっとしますし、何より体に優しい。そしてお客様に喜んでいただけることが、なにより嬉しいです」

　パンと並んで力を入れているコーヒーは、生豆の状態で仕入れ、注文を聞いてから焙煎機で焙煎して販売している。店頭に並ぶ豆は約50種類。伊賀では手に入りにくい希少な豆も店頭に並ぶ。「コーヒーの味は、産地や農園によっても違い、シングルかブレンドかでもかわります。また、同じ豆でも焙煎度合いや焙煎してからの時間、淹れ方、体調によっても味がかわります。そこが魅力であり、奥が深いところです」と向出さんはコーヒーの魅力を話す。

　豆の仕入れは1か月で100㎏を超え、定番のほかにも新しい豆が定期的に入荷し、種類が入れ替わる。向出さんは新しい豆が入荷すると、何度も焙煎の試作を行い、その豆に合った焙煎度合いを決めている。「焙煎機を導入したのは5年前です。コーヒーは焙煎すると劣化がはじまります。焙煎してから2、3日後から2週間くらいが、香りが良くて一番美味しい。その美味しさを味わっていただきたくて、思い切って焙煎機を導入しました」と話す向出さん。焙煎のノウハウについては大阪の老舗のコーヒー店などで学んだそうだ。

無添加生地の手作りパンには、開店当時からのリピーターが多く、ロングセラー商品が多い

生豆で仕入れているコーヒー豆。超希少な幻のコーヒー豆が並ぶことも

大阪の繁華街の大手コーヒーチェーン店で学生時代から店長を務める

　「学生時代から無類のコーヒー好き」という向出さん。地元伊賀から大阪の大学に進学し、バイト先に選んだのは大手コーヒーチェーン店だった。仕事ぶりが認められ、大学4年生の時には、同チェーン店の新店舗の店長を任された。別の就職先も決まっていたが、卒業後もそのまま店長を続ける道を選んだ。店長を務めた店舗は大阪の繁華街、天神橋筋商店街にあり、1日に約700人が利用する多忙店だった。7年間店長を務めたのち、独立するために伊賀に帰郷。現店舗を開店した。

　「大阪の店舗はとにかく大変でした。多くのお客様が来店されますし、要望も多かった。当時は経営や哲学の本も良く読みました。その中でも、京セラの創業者である稲盛和夫氏の本に書かれていた『利他の精神』やマハトマ・ガンディーの言葉『明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ』などに影響を受けました。そういった精神が今でも私の原動力になっています」

コーヒー豆は注文を受けてから焙煎機で焙煎する

地元企業とコラボしたオリジナルブレンドコーヒーを開発　新たな夢も

　自家焙煎コーヒーの美味しさが話題となり、数年前から伊賀FCくノ一三重やさるびの温泉、イタリア料理店などとコラボした、オリジナルブレンドコーヒーを開発。なかでも伊賀鉄道とコラボした｢IGA TETSU COFFEE｣は、鉄道ファンはじめ多くの方に好評で、ギフト商品も登場している。「コーヒーの縁で地元の方とコラボできるのはとても光栄ですし、料理との相性を考えたブレンドなど、これまでにない経験ができるのも嬉しいですね」

　また最近、新たな分野に挑戦している。取引業者からの依頼で、コーヒーとパンを扱う店舗の開店にむけた独立開業支援、コンサルティングを実施。「お客様や業者の方との対話を大切にすることで、新しい発見や違った道が開けることもあります。他にもたくさんやってみたいことがあって、一つは自作の伊賀焼で料理や飲み物を提供したい。もっと先になりますが、農業もやってみたいですね」と笑顔で夢を語る向出さん。これからどんな夢をかなえていくのか期待して見守っていきたい。