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THUDOU(ツドウ) 橘 利夫さん
夢にむかって挑戦し続ける職人歴50年の革職人
15歳で革職人の道へ 5年前に自身のブランドを立ち上げる
「この仕事は天職」と話すのは、伊賀市きじが台に革細工の工房と店舗「THUDOU」を構える橘利夫さん(63)。この道に入ったのは、中学卒業後、15歳のとき。ものづくりが好きで手に職をつけたいとの思いから、大阪のハンドバッグ関連の会社に入社した。働き始めた頃は「仕事は目で見て盗め」という時代。苦労と努力を重ねて技術を習得した。現在は大阪の鞄メーカーでサンプル師として勤務。サンプル師は、デザイン画から型紙(パターン)をおこして、革を裁って縫製し、サンプルを作るという、高度な技術が必要とされる技能職。橘さんいわく「2次元を3次元にするのが仕事」だそうだ。
5年前(2017年)にこれまでの経験をいかして、夢だった自身のブランド『唯壱無弐(ゆいいつむに)』を立ち上げ、住まいのあるきじが台に工房と店舗を構えた。現在はオリジナルの鞄以外にも、財布や眼鏡ケースといった小物類も扱っている。 |
「楽しい! また来たい!」と思ってもらえる教室に!
工房では予約制の革細工教室を開催。1回3時間、マンツーマンで、革の鞄や手縫いの小物づくりのほかに、希望すれば型紙の扱い方なども教えてもらえる。工房の教室以外にも、上野商工会議所が主催するワンコイン講座や新天地Otonari内「だーこキッチン」でのワークショップ、いがぶらり体験博覧会「いがぶら」への参加など、様々な場所で講座やワークショップを開催。どれも気軽に参加してもらえるよう、受講料はリーズナブルに設定している。
「教室に来られた方には楽しんでいただきたい。しっかりサポートしますし、いろいろな要望にもできるだけこたえたいと思っています。今、力を入れているのは手縫いの小物教室。手縫いの小物は、太い糸で縫えますし、仕上がりもきれい。型崩れしにくいので、長く使っていただけて、おすすめですよ」と橘さん。退職後はもっとたくさん教室を開催したいと話す。
オリジナルの新作ランドセルの開発、移動店舗の開店 これからも挑戦は続く
「私はいつもアクセル全開(笑)。いつも前向きに考えるようにしています。これからもいろいろなことに挑戦していきたい。挑戦に年齢制限はありませんから」と、とても前向きな橘さん。今年の大きな挑戦は二つある。一つは今までにない、全く新しいオリジナルのランドセルをつくること。そしてもう一つは、カスタマイズした軽トラにミシンを積んで鞄づくりをする、移動の鞄屋をオープンさせることだ。「移動店舗は使い勝手とコストカットを重視して、知り合いの鉄工所に軽トラの荷台につけるフレームをつくってもらい、自分で縫った幌をかける方向で進めています。どうしたらうまくいくか、あれこれ考えるのが楽しい。この年齢になったから言えることかもしれませんが、できないのではなくて、できることからコツコツはじめてみる。教室の皆さんにもそうお話ししています」
常に前向きで、新たな挑戦を続ける橘さん。最後にその原動力について尋ねると「やっぱりこの仕事が好きなんですね。好きだからあれこれ考えて、挑戦したくなる。どんどん夢をかなえたくなる。90歳まで現役でがんばるつもりです」と力強くこたえてくれた。
※橘さんの教室及び店舗の見学は予約制。詳しくは橘さん携帯(080-4225-1959)または、WEBサイト「https://kataraku.jp/」まで。
取材日:2022年5月