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一般社団法人 伊賀上野観光協会 新会長 宮嵜慶一さんインタビュー
データに基づく観光マーケティングを
一般社団法人 伊賀上野観光協会の新会長に宮嵜慶一氏(66)が2022年6月25日付で就任した。前身の上野市観光協会からは7代目、現協会では2代目の会長となる。宮嵜氏は2005年から17年間同協会の副会長を務めた。今回は、同氏に新会長としての抱負や今後の展望などを聞いた。
-副会長時代のお仕事と会長に就任されたお気持ちをお聞かせください
副会長時代の大きな仕事の一つは『伊賀上野観光情報紙 いがぐり』の発行と監修でした。同紙は2001 年12 月から2020 年3 月の最終号(73 号)まで約20 年間にわたり、季刊紙として伊賀の観光をメインにした様々な情報を発信してきました。毎号の特集を企画するのは大変でしたが、流行を取り入れたり、切り口を変えたり、職員とアイデアを出し合いながら制作していました。取材は伊賀流忍者博物館のくノ一をはじめとする職員らが担当していましたので、ふだん博物館で勤務している職員にとっても地域のお店や市内の観光スポットについて学ぶ良い機会になっていたと思います。
同紙の編集作業を円滑に進めるうえで大切にしていたことは、話合いによるイメージの共有です。イメージを共有するとコミュニケーションが取りやすくなり、仕事がスムーズに進むものです。
協会の運営に関しても、協会員や職員、そして市民の皆さまともイメージを共有できるよう尽力し、共に協会の活動を推進していきたいと考えております。
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-コロナ禍での観光に対する影響はどんなものでしたか
市内の観光施設や飲食店等の観光サービス事業者に大きなダメージを与えたのはもちろん、当協会が運営する伊賀流忍者博物館の入館者数においても、コロナ禍前の2018 年度に比べ、2021年度は67%減、約15%あったインバウンド(外国人観光客)は1.5%の比率にまで落ち込みました。
-集客の落ち込みに対しての対策案をお聞かせください
上野公園からまちなかへの回遊の仕掛けとして、今年の4 月からは1 年を通して忍者体験ができる「心・技・体 伊賀忍者道場※」を、7 月1 日からはスマートフォンを使ったまち歩き&謎解き体験「伊賀流バーチャル忍者クエスト※」をスタートしました。これらは、当協会、上野商工会議所、伊賀市商工会、伊賀市で組織する「伊賀上野DMO」が持続可能な運営の実践を目指して、取り組んでいます。
また、伊賀上野DMO では、来街者アンケートデータの収集・分析に加えて、三重県観光連盟DMO と連携して、Google ビジネスプロフィールを活用したデジタルマーケティングにも取り組んでいます。例えば、伊賀市内のお店や施設がどこから、どのようなキーワードで検索されているかなどのアクセスデータは、現状把握することができる重要な情報です。それらを地域の協力事業者さんへフィードバックしたり、同サービスの導入支援することが、新たな誘客方法につながります。そういった取り組みも事業者さんと協力して実施しています。
秋以降は海外での旅行博への出展や海外旅行会社との商談会などインバウンドの誘客にも積極的に取り組んでいく予定です。
※両イベントの詳細はこちら → 伊賀上野観光協会HP
※『心・技・体 伊賀忍者道場』当サイト特集ページはこちら |
-今後の抱負をお聞かせください
伊賀には世界に誇れる魅力的なコンテンツがたくさんあります。伊賀忍者発祥の地、俳聖松尾芭蕉の生誕地であり、藤堂高虎が築いた城下町の風情を残す街並みなど、様々な文化遺産をあちこちで見ることができます。また、ユネスコ無形文化遺産である『上野天神祭のダンジリ行事』(国指定重要無形民俗文化財)は、例年約10万人もの観光客が訪れる祭りとして知られています。ほかにも、伊賀牛、伊賀米など、伊賀の自然の恵みが詰まった食の数々、そして国指定伝統工芸品である伊賀焼、伊賀組紐といった名産品も数多くあります。
こういった伊賀の魅力を深く知っていただき、来街者の満足度向上につながる取り組みとして、先に述べたもの以外にも様々な体験メニュー、まち歩きにつながる地域内の回遊性を高める取り組みなどを行政と連携しながら今後も推進していく予定です。観光を取り巻く環境の変化を前向きにとらえて、今後さらに伊賀市の観光振興に尽力して参ります。
取材日:2022年7月